Story
時は1938年、第2次世界大戦直前。ナチスから逃れてきた大勢のユダヤ人難民が、プラハで住居も十分な食料もない悲惨な生活を送っているのを見たニコラス・ウィントンは、子供たちをイギリスに避難させようと、同志たちと里親探しと資金集めに奔走する。ナチスの侵攻が迫るなか、ニコラスたちは次々と子供たちを列車に乗せる。だが、遂に開戦の日が訪れた。それから50年、ニコラスは救出できなかった子供たちのことが忘れられず、自分を責め続けていた。そんな彼にBBCからTV番組「ザッツ・ライフ!」の収録に参加してほしいと連絡が入る。そこでニコラスを待っていたのは、胸を締め付ける再会と、思いもよらない未来だった。
Comments
〈五十音順/敬称略〉
荻原浩作家
八十数年前の出来事を描いているのに、
いま現在世界のあちこちで起きていることと、悲しいぐらいオーバーラップしてしまう。
主人公のように善をなそうとして苦しむ人間もいれば、悪をなそうとしてはいないだろうに、
平気で人を殺せるようになってしまう人間もいるのは、なぜだろう。
いま見るべき映画だと思う。
木畑和子成城大学名誉教授
1939年、第二次世界大戦開戦前の半年間に、ニコラス・ウィントンという青年が、
ナチ・ドイツに占領されたチェコからユダヤ人の子ども669人をイギリスに救出した。
地位も権力もない一介の市民が、知恵と強い意志で、多くの命を助けたのである。
しかし、救出できなかった子どものことが心の重荷となった彼は、この活動について沈黙を守った。
半世紀近くたってからの彼と「子どもたち」の「再会」は人々の強い感動を呼んだ。
久米宏フリーアナウンサー
元来英国の俳優であるA・ホプキンスが
実在した尊敬すべき英国人を演じている
“本望だ”とホプキンスの顔にそう書いてある
武田真一アナウンサー
戦争という大きな物語の中で、一人ひとりはどう振る舞えばいいのか。
この映画はそんなことを教えてくれる。
主人公・ニコラスは、目の前で命が尽きようとしていた子供たちを、運命の手に委ねる事を許さなかった。
他の誰でもない、自分自身が行動すべきだ!と。その若く純粋な思いが胸を打つ。
ニコラスの晩年を演じたアンソニー・ホプキンスの演技も素晴らしい。
自分が成した事を誇る事もなく、むしろ助けられなかった命を悼み静かに暮らす心情をごく自然に描く。
命の無限の可能性を感じさせる終盤は涙が止まらない。多くの人に見てほしい映画だ。
手嶋龍一外交ジャーナリスト・作家
ヒトラーがチェコを呑み込んだ運命の年、ユダヤの子供を救い出すべく死力を尽くした英国の青年がいた。
だが世界大戦が勃発し、幾多のユダヤ人家族が取り残されてしまった。
やがて杉原千畝がプラハに赴任し、この地でも密かに“命のビザ”を発給し続けた。
ニコラスの気高い志は孤高の日本人外交官に引き継がれていく。
いま平和を享受する日本でどれほどの人がこの奇跡の物語を知っているだろうか。
藤井貴彦キャスター
人生の時計を他人が止める。戦争や侵攻にはそんな極限が当たり前に転がっています。
この映画は、その一つ一つから目を背けず救い出すことがいかに困難で、いかに尊いかを伝えてくれます。
常識が壊れないうちに、どこまで平和を育てられるのか。
極限状態に陥ってしまえば、奇跡にまで頼る必要があるのだと教えられました。
風吹ジュン女優
人類は戦争まみれ!
現代人は難民の生き残りね…
繰り返す戦争「人類はまだ幼児期なんだ…」という教授(※)の言葉…
そんな事を思いながら…
screenは激動の波打ち際に生きる子供たちとニコラスにfocus!
アンソニー・ホプキンスの一人のシーンはとても大切!
監督が用意した意味のある時間ですから彼の芝居を見逃すな。
※教授=坂本龍一さん